扇子の種類・歴史・使い方を紹介!伝統工芸品の奥深い魅力にせまる

本記事の制作体制

熊田 貴行

BECOS執行役員の熊田です。BECOSが掲げる「Made In Japanを作る職人の熱い思いを、お客様へお届けし、笑顔を作る。」というコンセプトのもと、具体的にどのように運営、制作しているのかをご紹介いたします。BECOSにおけるコンテンツ制作ポリシーについて詳しくはこちらをご覧ください。

扇子は日本の夏の風物詩のひとつ。しかし、その種類や歴史について詳しく知っている人はあまりいません。

本記事では、全国から魅力的なMade in Japanを厳選し、こだわりの扇子も多数ラインナップする「BECOS(ベコス)」が、扇子について徹底解説!扇子の種類から歴史、使い方まで詳しく紹介していきます。扇子についてもっと深く知りたいという方や、こだわりの扇子が欲しいという方はぜひ参考にしてくださいね。

目次
傘 梅雨

扇子にはどんな種類がある?

「扇子」と聞くと、夏にあおぐ紙の扇子を思い浮かべる方が多いかもしれません。素材や用途、産地、サイズによって、実はいろいろな種類があります。このあとのセクションでは、それぞれの違いを順番に紹介していきます。

扇面の素材ごとの分類|紙扇子・生地扇子・白檀・ユニーク素材

扇子は、扇面・親骨・中骨(扇骨)などいくつかのパーツでできていますが、見た目の印象をいちばん左右するのが扇面です。ここでは、扇面の素材によって「紙扇子」「生地扇子」「白檀扇子」「その他ユニーク素材」の4タイプに分けて紹介します。

紙扇子

扇面に紙を使った「紙扇子」は、もっともベーシックなスタイルの扇子です。地紙と呼ばれる紙を重ねて貼り合わせ、その間に扇骨を差し込んで仕立てます。

  • 扇面に手描きの絵柄や刷毛引きが入ったものも多く、素朴ながら味わいのある表情。
  • 両面に紙が貼られているため、どちら側から見ても印象が変わらないのが特徴です。

また、紙扇子特有の「ため」と呼ばれるふくらみのおかげで、閉じたときに軽やかな音が鳴ります。
この音も含めて楽しめるのが、紙扇子ならではの魅力です。

生地扇子

扇面に布を使ったものが「生地扇子」。綿・麻・シルク・ポリエステルなど、素材によって雰囲気が大きく変わります。刺繍やプリントなどの加工がしやすく、紙扇子に比べるとより華やかな印象のものが多いです。

生地ごとに、似合うシーンも少しずつ違います。

  • 綿:やわらかい雰囲気で、浴衣や普段着の着物にぴったり
  • 麻:ナチュラルで涼やかな印象。同じ麻素材の服との相性が良い
  • ポリエステル:透け感のある柄など、真夏のカジュアル使いに
  • シルク:つや感と高級感があり、フォーマルな場にも合わせやすい

裏側から扇骨が見える片面貼りの構造も、生地扇子ならではの見た目です。

白檀(びゃくだん)

出典:伊場仙

扇面に紙や布を貼らず、香木である白檀を薄く削った板を重ねて作るのが「白檀扇子」です。透かし彫りや細かな模様が施されたものが多く、見た目にも香りにも品のある一本。暑さしのぎにあおぐというよりは、ふわっと立ち上る白檀の香りを楽しむ「持ち扇」として使われることが多いタイプです。

ユニーク素材

出典:マイクロファクトリー

最近は、紙や布だけでなく、樹脂やプラスチック、チタンなどを使った扇子も増えてきました。軽量で耐久性があり、大量生産しやすいため、価格も手に取りやすいものが多いのが特徴です。日常使い用にラフに持ち歩きたい方や、イベントのノベルティなどにも選ばれています。

用途ごとの分類|夏扇子・飾り扇子・舞扇子・茶扇子・祝儀扇・檜扇

扇子は「涼をとる道具」だけではなく、飾りや芸事、茶道や儀礼など、さまざまな場面で使われてきました。ここでは、代表的な6種類を用途別に紹介します。

夏扇子

あおいで涼をとる、いちばん身近な扇子が「夏扇子」です。「夏」と名前に入っていますが、季節を問わず一年中使える実用品で、和の雰囲気の絵柄も多く、ちょっとしたギフトや海外の方へのお土産としても人気があります。

飾り扇子

「飾り扇子」は、付属の扇子立てなどに乗せて、玄関や床の間、店内などに飾るための扇子です。
もともと縁起物の扇子に、長寿や繁栄などを表す絵が描かれたものが多く、お祝いの品として贈ったり、季節に合わせた絵柄を選んで四季を楽しんだりできます。

舞扇子

出典:白竹堂

日本舞踊や能など、伝統芸能で使われる扇子が「舞扇子」。竹骨に鉛を埋め込むなど、舞いやすさを考えた作りになっており、扇面には雲や水などの意匠が多く、華やかで上品な印象です。

舞扇子の骨の色には、大体3種類があります。

  • 塗骨(ぬりぼね)
  • 白竹(しらたけ)
  • 煤竹(すすたけ)

稽古では白竹、本番の舞台では塗骨や煤竹が使われることが一般的です。

茶扇子

出典:大西常商店

「茶扇子」は、茶席で使われる紙扇子です。茶道が発展した室町時代から用いられ、茶席では膝の前に閉じたまま置き、結界のような役割を持ちます。開いてあおぐことはほとんどなく、サイズは女性用が約15cm、男性用が約18cmが一般的です。

祝儀扇

出典:大西常商店

結納や結婚式、披露宴などで持つ礼装用の扇子が「祝儀扇」です。黒塗りの骨に金銀の地紙を貼ったものが代表的で、男性用・女性用で地紙や扇骨のデザインが異なります。シーンや立場、装いによってふさわしい祝儀扇が変わるため、フォーマルな場ではTPOに合わせて選ぶことが大切です。

檜扇(ひおうぎ)

出典:京風庵 大むら

「檜扇(ひおうぎ)」は、紙を使わず木で作られた扇子です。薄く削った檜の板を綴り合わせ、要で留め、先端を絹糸で編み綴った独特の構造をしています。女性が使うものは「衵扇(あこめおうぎ)」とも呼ばれ、主に宮中で用いられてきた格式ある扇子です。

産地ごとの分類|京扇子・江戸扇子・名古屋扇子・近江扇子

扇子の産地として、とくに知られているのが京都と東京(江戸)です。「京扇子」「江戸扇子」という名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。産地ごとに作りやデザインの持ち味が少しずつ違うので、特徴を知っておくと「自分らしい一本」を選びやすくなります。

【京都】京扇子

もともと扇子は京都で生まれたとされており、「京扇子」と名乗れるのは京都扇子団扇商工協同組合の会員が作るものに限られます。

京扇子の主な特徴は次の通りです。

  • 扇骨の数が多く、扇面の折り幅が細かい
  • 繊細なつくりで、舞や茶道、女性向けの意匠が多い
  • 竹や紙の加工など、多くの工程を分業で行う

竹の加工、紙の加工、貼り付けなど、それぞれの工程を専門の職人が担当し、連携しながら一本の扇子を仕上げていきます。

もともとは女性向きのイメージが強い京扇子ですが、今では男性にも似合うシンプルなデザインも増えています。

【東京】江戸扇子

京都で生まれた扇子が江戸へ伝わり、独自に発展したものが「江戸扇子」です。現在では、東京で作られている扇子を指し、京扇子とはまた違った雰囲気があります。

江戸扇子の特徴は次の通りです。

  • 京扇子より扇骨が少なく太めで、すっきりとした造形
  • 大胆で力強い絵柄が多く、男性向けの意匠が中心
  • ひとりの職人が最初から最後まで一本を作り上げる

全工程を一人で担うため、習得には時間がかかりますが、その分職人の個性や思いがストレートに表れた一本になります。「まわりと被らない特別な扇子が欲しい」という方は、江戸扇子に注目してみると楽しいはずです。

【愛知】名古屋扇子

京扇子・江戸扇子に続く一大産地が愛知県で、そこで作られるのが「名古屋扇子」です。

名古屋扇子には、次のような特徴があります。

  • 重めの色合いや、はっきりとした鮮やかな色の絵柄が多い
  • 祝儀や儀式などで使う男性物が中心
  • 宝暦年間に、京都から移住した井上勘造父子が始めたとされる

扇面の色使いが印象的で、パッと目を引く華やかさがあります。フォーマルな場で存在感のある扇子を持ちたい方に向いた産地です。

【滋賀】近江扇子

出典:鈴木扇子店

国内で作られている扇子の多くは、滋賀県産の扇骨を使っています。その中でも、扇骨だけでなく扇子の製造まで手がける老舗の作るものが「近江扇子」です。

近江扇子を扱う店は全国でも数軒と限られており、知る人ぞ知る産地。とくに「高島扇骨」は全国シェア約90%を誇り、滋賀県の伝統工芸品にも指定されているほど、質の高い素材として知られています。

サイズごとの分類|男持ち・女持ち

夏扇子のサイズは、おおまかに男性用(男持ち)と女性用(女持ち)で分かれています。もともとは「男性7分5寸、女性6寸5分」と定められていましたが、今は次のような長さで販売されることが多いです。

  • 男性用(男持ち):約21cm以上
  • 女性用(女持ち):約19cm
  • 男女兼用:約21cm前後

夏扇子は実用的に毎日使うものなので、性別にこだわりすぎず「持ったときにしっくりくるサイズ」を選ぶのがおすすめです。

扇子の歴史と伝統|受け継がれる技術

扇子は、ただ涼をとるための道具ではなく、長い歴史と職人の技が詰まった伝統工芸品です。今、手にしている一本にも、何百年と続いてきた文化と技術が静かに息づいています。

扇子の歴史|発祥は1,200年前!

扇子の始まりは、約1,200年前の平安時代とされています。最初は「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれる、木や竹の板を綴り合わせた形で、式次第や和歌を書くためのメモや儀礼の道具として使われていました。

やがて素材が紙へと移り変わり、「蝙蝠扇(かわほり)」と呼ばれる紙扇子が生まれます。日本で生まれた扇子は中国やヨーロッパにも伝わり、片面貼りから両面貼りへと姿を変えながら、現在の扇子の原型が形づくられていきました。

長らくは貴族や神官など限られた人だけの持ち物でしたが、江戸時代になると庶民にも広く普及し、町人文化のなかで多彩な絵柄や意匠が生まれます。今、私たちが手にする様々なデザインの扇子は、こうした歴史の積み重ねの先にある存在です。

扇子づくりの工程|まさに伝統工芸

扇子づくりは、竹を用意するところから仕上げまで、細かく数えると80以上の工程に分かれると言われます。ここでは、そのなかでも代表的な流れをざっくり紹介します。

  1. 骨づくり:若い竹(おおよそ3〜5年ほど)を薄く細く加工し、必要に応じて彫り細工や塗りの加工を施します。
  2. 紙づくり:芯紙を表裏の皮紙で挟み、3枚重ねの合わせ紙を作ったあと、扇面の形に切り抜きます。
  3. 上絵:切り抜いた扇面に、絵師が絵柄や模様を描き、扇子の表情をつくります。
  4. 折り加工:型紙で上下から挟み、蛇腹状に折り目をつけたあと、骨を差し込む道を通し、息を吹き込んで穴を広げます。
  5. 仕上げ:水糊をつけた中骨を差し込んで接着し、親骨を熱して内側から紙に密着させ、全体の形を整えれば一本の扇子が完成します。

工程をさらに細かく見ていくと、一つひとつに職人の熟練した手仕事が必要であることがわかります。こうした繊細な工程を経て作られる扇子は、まさに日本を代表する伝統工芸品と言えるでしょう。

扇子の魅力|知られざる意外な使い方も

扇子の使い方として一番に思い浮かぶのは、あおいで涼をとることですよね。しかし、扇子にはあまり知られていない意外な使い方もあります。ここでは、伝統工芸品である扇子の新たな魅力を紹介します。

ファッションアイテムとして

最近では、粋なファッションアイテムとして扇子を持つ人も多くなっています。浴衣はもちろん、スーツや洋服にも合わせることができ、幅広いコーディネートのアクセントになってくれる扇子。

柄も、伝統的な和柄から洋風のものやモダンなものまで、非常にさまざまな種類が販売されています。アクセサリー感覚で、その日の気分に合わせて扇子を選べば、お出かけするのがちょっと楽しくなるかも。デザイン性と機能性を兼ね備えた扇子は、暑い夏を風流に過ごすための頼もしい味方になってくれるでしょう。

部屋に飾るインテリアとして

絵画のように美しい!着物とおなじ手法で染め上げた手描き加賀友禅の扇子
染の四季/ めじろ (男女兼用)

扇子は扇子立てに乗せてインテリアとして部屋に飾るのも人気です。豪華で縁起のいい柄の扇子を飾るだけで、部屋が少し華やかになります。自宅だけでなく、お祝いの席で飾られることもあります。

口元を隠すアイテムとして|飛沫予防


画像出典元:株式会社山岡白竹堂

食事の際に口元を隠すアイテムとしても、扇子が注目を集めています。マナーとしてはもちろん、マスクの代わりに飛沫防止効果を期待して扇子を使う人も増えているとか。最近では、抗菌加工の施された扇子も販売されています。

プロップスで写真映え

扇子の新しい使い方として、「フォトプロップス」が話題になっています。フォトプロップスとは写真撮影に使われる小道具のこと。ヒゲの形のプロップスなどを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

そんなフォトプロップスに、デコレーションした扇子が使われているのを最近よく目にするようになりました。特に、結婚式で使われるのが人気のようです。自分たちでオリジナルのプロップスを作って、大切な日の思い出に華を添えるのもいいかもしれません。

扇子の選び方と長く使うコツ

ここでは、いい扇子の選び方と、扇子を長く使うコツを説明します。

手ごろなものでは1,000円程度から購入できる扇子ですが、長く使いたいなら高品質のものを選ぶ必要があります。そうはいっても、「いい扇子の選び方なんてわからない」という人が多いのではないでしょうか。いい扇子の見極め方を知って、お気に入りの一本を見つけましょう。

扇子は、外で使用する事も多いですが、その分、汚れや破損のリスクもあります。お気に入りの扇子を長く愛用するための、お手入れ方法を紹介します。

扇子の選び方

高品質な扇子には、以下のような特徴があります。

確認方法高品質な扇子の特徴
閉じた形状を前から確認扇子の両側にある親骨の『天』と呼ばれる先端部分が”キュッ”と閉まっている
閉じた状態を横から確認扇面(おうぎめん)の紙がはみ出ていない
扇面の素材を確認紙が使われている
中骨に使われる竹の質を確認耐久性があって密度が高くよくしなる竹皮に近い部分の竹が使われている
扇骨の本数を確認扇骨(中骨)の本数が35本以上ある

デザインだけでなく品質にもこだわって、お気に入りの扇子を見つけましょう。

扇子を長く使うコツ

扇子についた汚れや埃は、乾いた布で優しくふき取りお手入れしましょう。また手垢が付いた場合は、下手に取ろうと強く擦らない方が良いでしょう。中には張替が可能な扇子も販売されているので、購入する時に確認しておくことをおすすめします。

扇子を保管するときは、山谷が崩れないよう閉じた状態で保管すると、より長持ちしますく使用できるようになります。

万が一、扇骨が折れた場合は、親骨なら接着剤で直すことも可能です。ただし、薄く削った竹や木の材料を用意して補強する必要があります。親骨に対して、中骨は繊細なつくりで折れやすいです。中骨は、プロの職人でも作業中に折ってしまうことがあるほど。中骨は1本折れただけでも、全ての骨を変えなければいけません。この場合は、購入したお店に修理できるか問い合わせた方が良さそうです。

扇子にまつわるアイテム|扇子袋・扇子ケース

BECOSオリジナルの扇子袋・女性用4種男性用3種のカラーバリエーションも豊富

扇子の周辺アイテムとして代表的なのは扇子袋や扇子ケースで、扇子を収納することで扇面や扇骨の破損を防いでくれます。扇子と同様にさまざまな素材やデザインがあるので、布製のものや革製のものなど服装や扇子の雰囲気に合わせて選ぶといいでしょう。

扇子袋を使うときは、頭から扇子を差し込んでください。要と呼ばれる扇子を留めている支点部分を手前にすることで、扇子に「開きグセ」がつくのを防げます。

浴衣にあわせて扇子を持つときは、帯に扇子袋ごと扇子をさすと、かっこよく持ち歩けます。刀のように脇腹あたりにさしたり、背中の帯の結び目の横あたりにさしたりするのがおすすめです。

扇子袋を探してみる

扇子の豆知識

扇子は縁起がいいアイテム

扇子は、逆さまにしたときの形が「末広がり」であることから、古くから縁起物としても愛されてきました。末広がりが縁起がいいとされる理由は、

その姿かたちが富士山に似ているからです。日本では昔から富士山は霊山として信仰の対象にもなってきました。この富士山の形と同じ末広がりにも、神様のご利益や力が宿るとされ、縁起がいいと考えられていたのです。

引用元:縁起物百科事典

縁起のいい扇子は、ハレの日のプレゼントや、部屋のインテリアとしても人気があります。

扇子は英語で何と言う?

外国人観光客のお土産としても人気の扇子ですが、英語では何と言うか知っていますか。

扇子は、英語「folding fan(フォールディングファン)」です。「folding」は、「折りたためる」や「折り重なる」という意味です。「fan」がうちわや扇風機など「送風するもの」を指す言葉なので、「folding fan」で扇子を上手に表していますね。他にも「Japanese fan」や「paper fan」という呼び方もあります。

扇子の数え方

扇子は閉じた状態と開いた状態で数え方が違います。閉じた状態だと、1本、2本というように「本」で数えます。それに対して開いた状態では「面」または、「枚」で数えます。閉じた状態と、開いた状態で数え方が違うのは、数え方の種類が多彩な日本らしいですね。

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